ナマオの四足研究所

~日本四足競技連盟代表のブログ~

四足走行で推進力を生むのは右足?左足?

 

四足走行計測イベントから今日で二週間。余韻に浸るのも束の間、大学の方がいよいよ忙しくなって参りました。

ちょっとどれくらいの頻度でブログが更新できるか心配ですが、ネタは結構溜まっているので、なんとか時間を見つけてぼちぼち書いていきたいです。

 

イベントの後、元世界記録保持者の玉腰さんからいくつかアドバイスを頂いていたので、今日はそのうちの一つについてお話しします(と言っても、一つしかまともに覚えてないのですが……)。

 

右足で蹴るか左足で蹴るか

確か、足を大きく使えないという悩みを相談していた時にこの話になりました。

四足走行は左右非対称なので、どちらの足が先に着くかでも違ってくるのですが……玉腰さんの場合は、左足で強く蹴ることを意識しているそうです。

玉腰さんは左足が先に着地するタイプなので、先に着地する足で強く蹴っていることになります。

 

あれ……?

経験者の中には、ちょっと意外に感じる方もいるんじゃないですか?(感じない方はそれで大丈夫です。多分それが正しいので)

f:id:NAMAO:20191110215057j:plain

足が接地する瞬間(ナマオ)

こちらは、タイムトライアル一走目の時の私の写真です(ちなみに私は左利きなので、玉腰さんとは足の着順が逆です)。

この時は、後から着地する足(左足)を外に出すフォームで走りました。玉腰さんや現ギネス世界記録保持者の“いとうけんいち”さんがそうしているので、それをマネた形です。大きな歩幅が得られそうですね(^^)

パッと見た感じでは、後から着地する左足の方が、前に大きく踏み出せる分、強く蹴れそうな気がしませんか?

 

 

しかし先に書いた通り、玉腰さんは先に着地する方の足を意識しています。

それでいて、歩幅は私よりずっと大きいんです。不思議ですね……

筋力など他の要因もあるでしょうが、先に着地する足で強く蹴ることは一つの重要なポイントかもしれません。

 

 

実は、私が前に読んだ論文でも同じようなことが書かれていました。

 

人間と同様、交叉襲歩を使う馬の場合、

推進力(アクセル)は先に着地する方の“後肢”で最大となり、制動力(ブレーキ)は後から着地する方の“前肢”で最大となる――と。

 

チーターなどが使う回転襲歩の場合の実験データはまだ見つかってません。多分、同じになると思いますが。

 

以上、「元世界王者のアドバイスにはちゃんとしたエビデンスがあった」というお話でした。

もちろん、当の本人はこんな論文など読んでいなかったでしょうが笑

 

参考文献

『「走る」―チーター(Acinonyx jubatus)の高速走行―』和田 直己

【動画】四足タイムトライアル2019

 

だいぶ手間取ってしまいましたが、先日の「四足タイムトライアル2019」の動画が完成しました。

 

こちらです↓


四足タイムトライアル2019〜四足走行50m測定会〜

 

記録上位3名は以下のようになりました。

 

玉腰さん 8秒39

森山さん 8秒87

ナマオ  9秒66

 

経験者もみんなブランクがある中、8秒台が二人も出たのには驚きました。

一応、私も自己ベストが出ました。ささやかながら笑

 

欠席が相次いで参加者が1ケタになってしまいましたが、初回にしてはまずまずの人数ではないでしょうか。来年は宣伝がしやすくなるはずなので、参加者20人以上を狙っていきたいです。

 

今回、開催して一番良かったと思えるのは、小学生が参加してくれたことです。

「子供の頃に四足走行が得意ったけど、周りに競争相手がいなかった」という経験を持つ方は、結構多いんじゃないでしょうか。私は、まさにそういった方たちに一番参加してもらいたいと考えていたので、その点では満足しています。

 

四足タイムトライアル2019当日

 

四足系イベントとしては実に5年ぶりとなる企画「四足タイムトライアル2019」が無事終了しました!

 

アクシデントで数名が来れなくなってしまったのですが、それでも10名を超える方が集まってくれました。

それも、元ギネス世界記録保持者をはじめとした精鋭揃いです。

 

イベントの様子は、本企画に参加されたYouTuberさんが後日アップロードしてくださる予定です。

 

初心者レクチャー

測定会

小学生の二足vs大人の四足

記録上位3人による頂上決戦

 

などなど、見所たくさんなのでお楽しみに!

 

四足タイムトライアル2019前夜

 

いよいよ明日の15時から、四足タイムトライアル2019が開催となります。

 

主催者としても気軽にできるようにと、大会ではなく計測イベントという形で企画させていただきましたが、いざやろうとなるとものすごいプレッシャーです。

 

私も計測に参加するので、今日は陸上競技場を使って最終調整する予定でしたが、出発直前になって疲労やらプレッシャーやらが一気にこみ上げてきて、しばらく寝込んでしまいました。

 

昔から、人前に立つのは大の苦手でした。それが今回は、自分で企画したイベントで、主催者として、集まった参加者たちの前に立つのです。

こんな自分で、よくここまでできたなと思います。

 

明日は2014年の世界大会以来、5年ぶりに四足走行の実力者が集まります。

最高のイベントにするため、あともう一日頑張ります!

 

至高の四足用具を探せ!手袋編1

 

早めに始めようと思いつつも始められなかったシリーズ第一弾です。

四足競技をしていれば誰もが気になるであろう手袋、シューズ、その他便利グッズの情報をこのシリーズで紹介していきたいと思います。

 

本日は手袋についてです。

 

四足走行の経験者が使う手袋は、だいたい粒付き軍手かゴム手袋です。

世界記録保持者の“いとうけんいち”さんなんかは軍手を使っているのですが、私の場合は手が痛くなるので、ゴム手袋+内手袋(粒無し軍手やサイクリンググローブ)を組み合わせています。

 

選ぶ際に見ているのは、

【実用面】フィット感、グリップ力、反発力

【経済面】強度、値段

【安全面】クッション性、通気性

です(こだわり過ぎでしょうか笑)。

 

二枚重ねなので、外手袋と内手袋で求めているものは違います。

実用面と強度はすべて外手袋任せ(内手袋もズレない程度のグリップ力は必要ですが)。クッション性は内手袋任せ。通気性は両方に求めています。湿気は水ぶくれと雑菌の原因になりますから。

 

そして最近購入したのがこちら!

f:id:NAMAO:20191018133337j:plain

アトム 快適ラバース

見た目からして使えそうじゃないですか!

一回だけタータンで使ってみたのですが、しっかり地面を掴んでいる感じがあり、反発力も十分です。それに加え、「手の平からも快適通気」の謳い文句!笑

もう少し使い込んでみたら、【実用面】【経済面】【安全面】の項目で点数付けてみようかと思います。

でも多分、27日の四足タイムトライアルは前の手袋で挑戦します。使い慣れているということで。

 

ゴム手袋を画像検索で調べまくったことがあったのですが、「アトム」というメーカーが、なかなかいい四足向け手袋を揃えています。

ホームセンターで売っている場合が多いので、気になった方は探してみてください。

 

おまけ↓

f:id:NAMAO:20191018133306j:plain

四足タイムトライアルで使う四足用三脚(足3本しかありませんね……)

 

↓ ブログ村ランキングに参加しています。

にほんブログ村 その他スポーツブログ 陸上競技へ
にほんブログ村

【動画】パタスモンキーのギャロップ走行

 

以前、四足動物のギャロップ走行には二つの型があるとお話ししました。

チーターや犬などが使う回転襲歩。馬や猿が使う交叉襲歩

この二つは四つの肢が着く順番で分けられています。

 

↓ まだ読んでいない方はこちらへ

quadrupedal-namao.hatenablog.jp

 

ところが、この二つの型に当てはまらないギャロップ走行をする動物が世の中には存在します。

それは世界最速の猿――パタスモンキーです。

パタスモンキーというと、四足走行ギネス世界記録保持者のいとうけんいち選手が手本にしているとよく言っていますが、彼は交叉襲歩なので実は全然違います。

 

こちらがパタスモンキーの動画。1分40秒~に注目です。


Segera Retreat - rare Patas Monkeys

 

スローで見てみると、パタスモンキーは交叉襲歩と回転襲歩を組み合わせているのが分かるかと思います。

後ろ足からの着順で言うと回転襲歩なのですが、前足からの着順は交叉襲歩です。

f:id:NAMAO:20191010110322j:plain

LF=左前肢,RF=右前肢,LH=左後肢,RH=右後肢

図にするとこうなります。

本来、ギャロップ走行というのは左右非対称の走り方なのですが、パタスモンキーのは二つの型を交互に組み合わせることで左右対称となっています。

 

四足走行をしていて左右のバランスが気になる方は、この走り方を試してみるのも面白いと思います。

かなり習得難度の高い走法ですが、私の場合はスキップで左右の足を入れ替えるイメージを掴みながら練習したら、うまくいきました。 

 

↓ ブログ村ランキングに参加しています。

にほんブログ村 その他スポーツブログ 陸上競技へ
にほんブログ村

【動画】四足初心者指導~いぬぷろさん~

 

先日、Youtuberの“いぬぷろ”さんに四足の指導をさせていただく機会がありました。

その時の動画が完成したということで、紹介させていただきます。↓


【疑獣忍法】四足走行にチャレンジしてみた

 

四足を指導するのは初めてでしたが、まずは基本の歩行から入りました。

走るのと歩くのは一見関係なさそうですが(実際体の使い方が異なりますし)、「しっかり手で地面を押す感覚」「足が窮屈にならないための前傾姿勢」を身につけるのに役立つと考えました。

四足歩行には霊長類特有の「前方交叉型」と一般四足動物の「後方交叉型」があることは、過去の記事でお話ししましたね。いぬぷろさんの場合は後方交叉型でした。

人間は霊長類なのに、実は後方交叉型が多かったりします。後方交叉型で歩く動物は前足に重心が寄る傾向にあるので、おそらく人間は極端な前傾姿勢で重心が前に寄って、この歩き方になるのではと思います。

ということは、後方交叉型になる人は、ちゃんと手で地面を押せているということになります。

窮屈に感じる方は階段の上りで四足歩行してみるといいでしょう。

人間は足が長すぎるので、前傾姿勢が取れないと足を前に運ぶスペースがなくなってしまいます。そこで、段差を利用して手足の長さの差を軽減し、楽な姿勢を見つけようというわけです。

実際に私は子供の時に階段を四足で上っていました。

特に練習せずともスムーズな四足歩行ができたのは、このためだと思っています。

 

さて、歩行の練習法を教えたところで、メインの走行です。

四足動物が全力で走る時はギャロップという走り方をしますが、手足の着く順番でチータータイプ(回転襲歩)と馬のタイプ(交叉襲歩)に分けることができます。

人間の場合は馬と同じタイプで、いぬぷろさんもそうでした。

足の動きは人間特有で、二足走行に近かったです。まあ、最初から四足走行が得意だった人はだいたいそうです。

これもこれで速いのですが、この走り方では歩幅の伸び代がほぼゼロなので、回転数に頼らざるを得ません。それだと記録を伸ばすのもスタミナ的にも厳しいので、今回は動物と同じギャロップを練習してみました。

こちらの動画ではカットされていますが、カエル跳びで練習しました。

全身のバネを使う感覚を磨くためです。二足型だと足で掻き込むだけなので、なかなか身につかない感覚だと思います。

ギャロップというのは簡単に言うと、カエル跳びで左右の手足の着地をずらしたものです。これで速く進もうとすれば、自然と手足の着地がずれていくはずです。初心者だとどうなるんでしょうね。とりあえずはいぬぷろさんの練習成果を待ちましょう。

 

いぬぷろさんは今月27日の記録会にも参加する予定です。

当日はどんなタイムが出るのでしょうか。楽しみです!

 

↓ こちらが記録会の要項となります。一般参加も受け付けているのでぜひ!

quadrupedal-namao.hatenablog.jp