ナマオの四足研究所

~日本四足競技連盟代表のブログ~

探偵ナイトスクープ 四足小学生

こんにちは、ナマオです。

しばらくぶりにいとう選手のTwitterを覗いてみたところ、四足走行のテレビ放送を見逃していたことに気付きました。

3月25日放送の「探偵ナイトスクープ」で四足走行が取り上げられていたようですね。

「四足走行の大会があるのか。どれくらい速いのかを調べて欲しい」という小学生からの依頼を受けて、いとうけんいち選手が登場するという流れでした。

個人的にいとう選手とはいろいろあったので、思うところはありますが……笑

とても興味深い内容でした。

後半では、「大会に出たい」という依頼者の願いを叶えるために、いとう選手が(おそらくall fours GYMの)小学生の実力者を集めて小さな大会を開いてくれました。

名付けて「第一回 全国こども四足走行大会」

出場者は以下の四名。

 

依頼者の板倉君

関西代表の坂井君

東北代表の後藤君

関東代表の小方君

 

集まった四足小学生たちを見て、依頼者の母が「仲間がいてくれたことがうれしくて」と一言。子供の頃に同じ思いをしていた自分としてはグッとくるものがありました。

羨ましいです。自分は高校三年まで孤独でしたから笑

 

さて、結果は坂井君の優勝でしたが、

それぞれの走行について、私なりに勝手に分析させてもらいました。

 

まず依頼者の板倉君。

最初見た時、「おや?」となりました。

私の知る限り、子供の頃から四足が得意な人は全員がヒト型ギャロップ襲歩)でした。

※ヒト型ギャロップについては以下の記事にまとめてあります。

quadrupedal-namao.hatenablog.jp

しかし彼の場合は、(2014年頃までの)いとうけんいち選手と同じタイプのギャロップです。これは足が肩より外側に出て、体幹の向きが進行方向に対して斜めになるのが特徴です。子供の頃からこの走り方ができるのは、かなり珍しいです。

いとう選手のことを知っていて、そのフォームを見て練習していたのか。あるいは自分で速く走れるよう工夫してそうなったのか。いずれにしても、自然には出てこない走り方だと思います。

この走り方はカエル跳びの延長のようなもので、歩幅は大きく取れますが、回転数ではヒト型ギャロップに劣ります。

一度ヒト型を習得してみたら面白いんじゃないでしょうか。ヒト型といとう型のギャロップでは、リズム感や体の使い方がだいぶ変わってくるので、回転数を上げるコツなどを掴めるかもしれません。

いとう選手の言っていた通り、伸びしろはまだまだあると思います。

 

優勝した坂井君。

彼はヒト型ギャロップですね。綺麗なフォームです。選手入場の時の歩行でも前傾姿勢が取れていて、足に無駄な力が入っていないように見受けられました。この姿勢、結構大事です!

※自然な四足姿勢については、以下の記事で触れています。

quadrupedal-namao.hatenablog.jp

前傾姿勢を作ることで足を動かすスペースが広く取れているので、足を縦方向に大きく使えています。手の使い方も言うことなしですね。動物のように前足で地面を蹴る感覚が、彼にはあるようです。

ただ、ヒト型ギャロップは歩幅があまり伸びないので、さらなる高みを目指すならば新しい走法が必要になってくるかと思います。

実は、ヒト型ギャロップは一度も世界記録を取ったことがないんですよね……

悲しい……

quadrupedal-namao.hatenablog.jp

2014年以降の世界記録の走法については、こちらの記事で解説していますが、坂井君ほどの才能があれば、また新しい世界を見せてくれそうな気もします笑

四足の才能がある人が、子供の頃から継続して練習した例はほぼありませんからね。

これから先も長く四足競技を続けて欲しいです。

 

二位の後藤君。

彼はまだ、本気じゃありません笑

なんせ後藤君は、四人の中で唯一歩いていましたから。

動物が全力で走る時の歩法はギャロップと呼ばれるものですが、これは左右非対称です。対して後藤君のは、速歩と呼ばれる左右対称の歩法です。

厳密に言えば、全身が宙に浮く瞬間さえあれば「走行」に分類できますが、少なくとも速歩は全力で走る時のものではありません。

その歩法で二位になってしまうのですから、末恐ろしいです笑

ギャロップを習得したらものすごく速くなるんじゃないでしょうか。

体操をやっているとのことで、動きも柔軟で、才能を感じました。彼ならすぐに習得してしまうでしょう。期待大ですね!

 

小方君。

彼もヒト型ギャロップです。

が、恐らく四足走行を始めてからそれほど経ってないでしょう。選手入場の時に軽く四足で走っていましたが、手が地面に十分に接地していないのが気になりました。

ただ、本番ではしっかり手で地面を叩けていたので、結構四足の感覚は優れているんじゃないでしょうか。身体能力も高そうですし。

歩行練習で基本の四足姿勢を身に付けて、手で体を支える感覚、前傾姿勢が備われば、かなり伸びると思います。

 

こんなところですね。

ともかく、小学生の頃から四足仲間に巡り合えたことは大きな財産となるでしょう。彼らがこの先もまた会って、ライバルとして競い合い、四足の黄金時代を築くところまでを期待してしまいます笑

私も大会を主催するなどして、そうした懸け橋になりたいものです。

練習の面でもサポートしたいです。一応大学でスポーツ科学と四足を研究していたので、できることは多いはず。

 

メールなどで「練習がしたい」と相談に来られた方には、いとう選手の「all fours GYM」を紹介していますが、本心ではそっちより自分の方を頼って欲しいです笑

「all fours GYM」には四足教室がありますが、あれはフィットネスが目的で、速く走るためのものではありません。いとう選手が本気で四足教える気があるとも思えない(2014年大会の出来事を考えれば……)。