四足哺乳類の走行はギャロップ(日本語では襲歩)と呼ばれます。
四足歩行がそうだったように、四足走行も前足と後ろ足の着く順番で二種類に分けることができます。
交叉襲歩(transverse gallop)
前足後ろ足を人の手足に置き換えると、
左足→右足→左手→右手……(またはその逆)
の順番で着地します。
馬やクマ、サルに見られる走法です。ちなみに人間も四足で走れば自然と交叉襲歩になります。
ギャロップは左右非対称であると、前回の記事で書きました。
歩行や二足走行は左右の足が「1・2・1・2・1……」と交互に着地しますが、ギャロップでは「1・2~1・2~1……」といったリズムとなり、左右どちらの足が先に着地するかが決まっています。
二足しか分からない人でも、スキップをしてみるとその違いが実感できるかと思います(左右を入れ替えずにやれば、ギャロップと同じ足の動きになります)。また、左右で足の役割が違っていることも分かるかと思います。
馬の場合、先に着地する方の後ろ足で推進力が最大となり、後に着地する方の前足で制動力(ブレーキ)が最大となることが分かっています。
これは「先に着地する方の後ろ足」からの推進力が「後に着地する方の前足」に向かうことを表します。
これを交叉襲歩に当てはめると、上図左では「左足→右手」、上図右では「右足→左手」に推進力が向かっていて、推進力の向きが体軸と交差していることが分かります。
つまり斜めに進むということになるのですが、後肢からの推進力が重心の下を通過するため、安定性に優れていると考えられています。
回転襲歩(rotatory gallop)
前足後ろ足を人の手足に置き換えると、
左足→右足→右手→左手……(またはその逆)
の順番で着地します。
ネコ科やイヌ科などがこの走法です。ネコと言うからには、もちろん地上最速のチーターも。馬も加速する時だけはこの着順になるそうです。
推進力は左足から左手(上図左)、または右足から右手(上図右)に向かっていて、体軸と平行なため、直進性に優れていると考えられています。
最速のギャロップということで私も時々試すのですが、かなりバランスが取り辛いです。足を肩より外に出さなければそこそこできますが、足の長さが活かせないのでダメですね……
参考文献
今回はやや踏み込んだ内容だったので、引用元の論文を紹介します。
・和田直己『「走る」―チーター(Acinonyx jubatus)の高速走行―』
URL<https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/52/1/52_95/_article/-char/ja/>
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quadrupedal-namao.hatenablog.jp